織田信長と足利義昭


室町幕府の第15代将軍・足利義昭は、第12代将軍・足利義晴の次男として生まれ、すでに兄・義輝がいたため家督相続争いを避け、寺社との結びつきを強くするために仏門へと入りました。

法名を覚慶とし、僧たちを管理する役職である権少僧都にまで昇進しましたが1565年5月、永禄の変で第13代将軍であった兄・義輝が母や弟と共に三好三人衆によって殺害され、義昭も捕縛され興福寺で幽閉されていました。

しかし、亡き兄・義輝の側近であった一色藤長、和田惟政、細川藤孝らによって助け出され、近江国の六角義賢の許しを得て、甲賀郡の和田惟政の居城・和田城へと身を寄せ、足利将軍家の当主を宣言しました。

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足利義昭の上洛

義昭は1565年11月には都へ近い矢島御所へと身を移し、上杉謙信に室町幕府再興の依頼をし、上杉謙信・武田信玄・北条氏政の3名に和睦を命じるなどしました。

翌年1566年には仏門から還俗し名を改め、三管領家の一つ河内国畠山高政、関東管領上杉謙信、能登国守護畠山義綱らと綿密に連絡を取り、上洛の機会を狙っていました。

当初、義昭の上洛に対して積極的であった六角義賢は信長の妹・お市の方と浅井長政の婚姻を働きかけたり、和田惟政と細川藤孝は織田信長と斎藤龍興を和解させ、信長は美濃から北伊勢・南近江を経由して上洛する計画を立てました。

しかし、信長が上洛のための兵を起こすとそれを斎藤龍興が襲撃し尾張へと撤退、さらには六角義賢父子と三好三人衆が内通したという情報もありました。

義昭は妹婿の若狭武田氏を頼り若狭国へと移動しますが、若狭国内は家督争いや重臣の謀反によって上洛できるような状態ではありませんでした。

仕方なく義昭は越前国の朝倉義景の下へと移動し、上洛しようとしましたが義昭を奉じて上洛することに対して消極的であったため、明智光秀の仲介で尾張国を中心に勢いがあった織田信長を頼り尾張へと向かいます。

1568年9月、足利義昭は織田信長と浅井長政の両軍に警護を受けながら無事に上洛を果たし、三好三人衆はこれを受けて京から撤退、9月30日には病に臥せっていた第14代将軍足利義栄が死去。

10月18日、朝廷から将軍宣下を受けて義昭は第15代将軍に就任しました。

政務に努めた足利義昭

将軍として政務に努めた義昭ですが、1569年1月に信長の軍が京から尾張へと引き上げた隙をついて三好三人衆が襲撃し、浅井長政や池田勝正、和田惟政らが撃退、これを受けて信長は二条城(※現在の二条城は江戸時代のもの)を整備し、二重の堀を巡らせ、高い石垣を備えた防御力の高い城郭へとなりました。

室町幕府の再興に尽力した信長でしたが、1569年1月9箇条からなる殿中御掟を義昭に認めさせると翌年1570年1月にはさらに5箇条を追加し、これも義昭に認めさせました。

同年4月に信長と徳川家康の連合軍は姉川にて朝倉・浅井の連合軍と相対し勝利をおさめ、ついで義昭と共に三好三人衆を討伐に向かいますが、途中、石山本願寺と朝倉・浅井が挙兵。

信長は近江へと引き返し、12月義昭は信長からの要請を受けて朝倉氏との和睦調停を二条晴良に依頼しています。

この辺りはまだそこまで信長と義昭の仲は険悪ではないような気がします。しかし、ここから義昭の急激な信長離れが始まります。


足利義昭の挙兵

1571年ころから義昭は上杉謙信や武田信玄、毛利輝元、六角義賢らに御内書を下し、信長包囲網を形成し始めました。

1572年、信長は義昭に対して17条の意見書を送付し、義昭を批判。これにより信長と義昭の対立は明確なものとなりました。

義昭の挙兵に対し、武田信玄が西上作戦を開始、三方ヶ原の戦いでは武田軍を前に徳川軍は敗れ、信長は窮地に陥ったように見えましたが、朝倉義景が越前へと撤退。

1573年、信長は自身の子を人質として義昭に和睦を求めましたが、義昭はこれを退け、信長に反旗を翻し、今堅田城と石山城に兵を入れますが数日で落城。上作戦中の武田軍も信玄の病状が悪化し、死去したため甲斐国へと撤退してしまいました。

その後、信長は京で知恩院に陣をはり、義昭に見切りをつけた幕臣の細川藤孝や荒木村重を味方につけ、再度義昭に和睦を申し入れましたが、義昭はこれも拒否。

信長は義昭の支持者が多く住む上京を焼き討ちにし、義昭のいる二条城を包囲して圧力をかけ、さらには朝廷に工作し、4月5日ついに勅命により講和が実現しました。

しかし、7月3日義昭は講和を反故し挙兵、7月18日に織田軍が攻撃を開始すると義昭方は降伏、信長は義昭を京から追放し、将軍家が持っていた御料所を自分のものとしました。

その後、朝倉氏や浅井氏が滅亡したことで信長包囲網は完全に機能しなくなり、室町幕府は事実上滅び、ここから群雄割拠(ぐんゆうかっきょ)の天下取りが始まります。

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